薬剤師を目指す方へ
「薬剤師になりたいな」そう思ってくださる高校生、中学生、小学生のみなさん。
どんなことから薬剤師をめざそうと思われましたか?
どんなきっかけであれ、職業として『薬剤師』を選び、進んでいきたい、
と思ってくださったことをうれしく思います。
さて、では薬剤師になるにはどのような道のりがあるのでしょう。
薬剤師の仕事はどんなことをするのでしょう。
……え?!薬学部のある大学に入ればいいだけじゃないの?
仕事って、病院で診察後の薬を調合してくれるのよね?薬局ではCMで宣伝しているような薬を売ったり、お医者さんで出された処方せんを持っていくと薬を出してくれたりするのよね?違うの?
どんな職業でも、奥は深いものです。さあ、少し奥に入ってみましょう。
(1) 薬剤師への道
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6年制薬学部のある大学に入学する (*1)
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卒業すれば「薬剤師国家試験」を受けることができる (*2)
arrow_downward - 合格すれば薬剤師免許取得となる! (*3)
- *1…
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薬学部には4年制と6年制の両方があります。
2017年現在、6年制薬学部がある大学は国公立私立合わせて全国に74校あります。
- *2…
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2018年度入学者より、薬学4年制を卒業した者は薬剤師国家試験を受験することはできません。
なぜ、薬学部は6年制になったのでしょうか。『臨床に係る実践的な能力を有する薬剤師を輩出すべく、2006年度から新たな薬学教育課程として6年制課程が導入された』(厚生労働省医道審議会薬剤師分科会)のです。
- *3…
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薬剤師免許取得すれば晴れて『薬剤師』です!
けれども、免許があるだけでは薬剤師とは言い切れません。さあ、免許を得るためにたくさん大学で学んだことをベースに、実際の薬剤師業務を行い、日々学び、成長していくことで本当の薬剤師となるのです。
(2) 薬剤師のお仕事紹介
薬剤師はいろんなところで活躍しています。法律には『薬剤師は調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。』と難しく書いてありますが、要するに薬の専門家であり、国民皆さんの健康に役立つのが薬剤師の仕事なのです。
- ■薬局で
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- ・一般的なお薬などの販売…
- お客さんの要望や症状に合う薬を探す、提案する、使用法を説明するのはもちろん、お話を聞いて『これはお医者さんで診てもらった方がいいかも』と、専門医等への受診をお勧めすることもあります。
- ・処方せんに基づく調剤…
- 処方せんを受け取ったらお医者さんの指示に従って薬を調剤し、話を伺いながらお渡しします。これは、単に医療用の医薬品を販売しているのではなく、患者さんの薬や体質などに関するカルテ(薬局では“薬歴”といいます)を基に調剤しているのです。これは薬の飲み合わせ、きちんと飲めているか、使用できているかのチェックをはじめ、患者さんが適正な医療を受けられるようにしているのです。
- ・地域医療におけるチーム医療への参画…
- 自宅にいて看護や介護を受けている患者さんに対する『在宅医療』に関わる薬剤師が増えています。また、そのような活躍を大いに期待されています。
- ・そのほかにもいろいろ…
- 家族で介護が必要となっている方への支援、禁煙をしたいと思っている方への支援、健康でありたいと思っている方からの相談、清潔で健康的な社会への貢献、なども薬局薬剤師の大事な仕事です。
- ■病院・診療所で
- 調剤、注射薬や点滴の調製のみならず、病棟で薬の管理、患者さんやその家族への説明と指導、薬の在庫管理・品質管理、薬と治療に関しての情報の入手と整理、などなど、仕事は多岐にわたります。病院内での医療チームの一員として、入院してきた患者さんの持参された薬のチェック、治療に関して薬学的な見地からの助言、最良の栄養療法を提供するための栄養サポートチームの一員ともなります。
- ■薬などにかかわる企業で
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- ・製薬メーカー…
- 新しいお薬の研究・開発・品質管理などにたずさわっています。種々の情報を収集・管理し、医師、薬剤師(病院や薬局)、看護師等に適切に専門的な情報を提供する医薬情報担当者としても活躍する薬剤師もいます。
- ・化粧品メーカー…
- 化粧品は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(略称:医薬品医療機器等法)で取り扱いを規制されていることから、商品開発などに携わる薬剤師がいます。
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・CRO,SMO…
- CRO(Contract Research Organization:医薬品開発受託機関)ではCRA(臨床開発モニター)として、SMO(Site Management Organization:治験施設支援機関)にはCRC(治験コーディネーター)として活躍する薬剤師もいます。新しく病気に効きそうな化学物質を薬として世に出すための“治験”に関わる仕事です。
- ・薬の卸売販売会社…
- 薬の保管管理と適正な流通を行っている会社で、病院や薬局からの問い合わせに対応して専門的な情報をタイムリーに提供することに薬剤師が従事しています。
・他にもいろんな企業で薬剤師はその力を発揮しています。
- ■災害時に
- 救護所・避難所等での医療チームによる医療活動の参加が主に思い浮かぶ薬剤師の仕事かもしれません。それ以外にも支援物資内の医薬品の仕分け、避難所や災害場所の衛生管理、避難住民への公衆衛生に関する指導なども大事な仕事です。
- ■学校で
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学校(幼稚園、認定こども園、小学校、中学校、高校など)でみんなが健康的で快適な学校環境を目指すための環境衛生活動や学校保健に関わる指導助言を行うのが学校薬剤師です。
学校校舎の衛生管理、プール水や水道、教室環境の検査を行い必要があれば指導・助言します。また、薬教室、薬物乱用防止に関するお話をする、学校保健委員会への参加でより学校の環境や健康豊かな子ども達の成長の手助けとなる仕事です。 - ■行政機関で
- 地方公務員として地方の行政機関の薬事衛生関係部署で、保健所で、都道府県立病院などでの仕事をしています。また、国家公務員として厚生労働省をはじめ各省庁の関連部署での仕事もしています。たとえば厚生労働省麻薬取締部での麻薬取締官、法務省矯正局(刑務所などを管理する部署)における薬剤師などです。薬剤師としての専門知識、社会や人への関わり方、ものの考え方、公共のために尽くす職業的な性質が大いに活かされる仕事です。もちろん基本的に地方公務員、国家公務員の資格は取らなくてはなりません。
- ■大学など教育機関で
- 学生たちに講義を行ったり、研究を深めたりする仕事もあります。もちろん教授職に就くこともあります。