薬草資料館
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サンショウ
【生薬】サンショウ(山椒) 秋、完熟果を採取し、乾燥する。果皮が割れて出てくる種子と果柄などの混雑物を取り除き再び陽乾する。
【成分】モノテルペノイド:citronellal, limonene, β-phellan drene, geraniol, citronellol、辛味成分:α-sanshool, γ-sanshool, hydroxy-α-sanshool, hydroxy-β-sanshool、アルカロイド:magnoflorine、タンニン:hyperine、ステロール類:campesterol, stigmasterol、その他:xanthoxin, xanthoxinic acid 等。
【効能】健胃、整腸、利尿、駆風、駆虫薬として食欲不振、胃下垂、消化不良、回虫駆除に用いる。漢方処方大建中湯や当帰湯などにも配合される。 -
ヤマザクラ
【生薬】オウヒ(桜皮) 夏に余り老朽化していない樹皮を剥ぎ、天日乾燥する。
【成分】フラボノイド:sakuranetin, sakuranin, genkuwanin, glucogenkuwanin 等。
【効能】蕁麻疹、腫れ物など皮膚病に用いる。エキスはブロチンの名で鎮咳去痰薬として配合される。華岡青洲の経験方である十味敗毒湯にも配合される。 -
マンドレーク
【生薬】マンドラゴラ酒 古代ローマの薬酒で根を細切りしてそれに糸を通し、3ヵ月間発酵前のブドウ液に浸しておく。発酵後の酒を別の甕に移す。(De Materia Medica)
【成分】アルカロイド:atropine, apoatropine, scopolamine, hyoscyamine, belladonine, cuscohygrine 等。
【効能】毒性が強いため現在では薬用に使用されることはないが、古くは解熱、鎮痛、催吐、幻覚、瀉下薬として、また催淫薬、催眠薬として使われた。 -
ヌルデ
【生薬】ゴバイシ(五倍子) 若芽に寄生したヌルデノミミフシの幼虫が作った虫癭を秋に採取し熱湯で煮て殺虫し、乾燥する。
【成分】タンニン:penta-m-digalloyl-βglucose,gallic acid,m-digallic acid、脂肪、樹脂、デンプン、ロウ質等。
【効能】収斂、止瀉、鎮咳、止血、止汗薬として慢性の下痢や咳嗽、脱肛、盗汗、鼻出血、痔出血に用いた。現在ではタンニン酸、没食子酸、ピロガロールの製造原料として、工業用の染料、皮なめし、インク原料に用いられる。 -
ツルシキミ
【生薬】インウ(茵芋) 随時葉を採取し、陽乾する。
【成分】アルカロイド:dictamnine,skimmianine、クマリン配糖体:skimmin 等。
【効能】中国では祛風湿、止痛薬としてリウマチなどの関節痛、筋肉痛、下肢萎弱に用いたが、毒性が強く現在では用いない。殺虫作用があるところから煎じたエキスを農薬として用いた。 -
ビワ
【生薬】ビワヨウ(枇杷葉) 秋に葉を採取し、裏面の毛をブラシなどで取り除いた後陽乾する。
【成分】青酸配糖体:amygdalin、セスキテルペン:nerolidol,eriojaposide A,B、トリテルペノイド:ursolic acid,oleic acid,euscaphic acid,maslinic acid、ポリフェノール:chlorogenic acid,procyanidin、糖類等。
【効能】口渇、健胃、止渇、鎮咳、消炎、利尿薬として甘露飲や辛夷清肺湯、枇杷葉湯に配合される。民間では咳止め暑気あたり胃腸病に煎じて服用する。あせも、湿疹、皮膚炎に浴湯料として用いる。 -
ミシマサイコ
【生薬】サイコ(柴胡) 秋から冬にかけて掘り取り、茎を切り取り水洗後陽乾する。半乾きの時細根を手で揉み落とし形を整え、更に乾燥する。
【成分】サポニン配糖体:saikosaponin a,b,c,d、脂肪油:stearic acid,oleic acid,linolic acid 等、糖類:adonitol、ステロール類: α-spinasterol,stigmasterol 等。
【効能】解熱、鎮痛、解毒、鎮静作用があり、精神神経用薬、消炎排膿薬、痔疾用薬、保健強壮薬とみなされる漢方処方に配合される。乙字湯、柴胡桂枝湯、十味敗毒湯、小柴胡湯、加味逍遙散、大柴胡湯、補中益気湯等。 -
ニラ
【生薬】キュウハク(韭白) 成長が早く、年に4-5回収穫することがでる。生葉のまま利用することが多いが、陰乾し保存することもある。
【成分】硫化アリル類:dimethyl disulfide,diallyl sulphide,allyl methyl disulfide,dimethyl trisulfide,diallyl disulfide,methyl allyl mats trisulfide 等。
【効能】胃や脾を温め、血行を良くし、解毒に、また吐血、鼻血、血尿、消渇や痔、脱肛、打撲に用いる。種子キュウシ(韭子)は腰痛、遺精、頻尿に用いる。 -
クズ
【生薬】カッコン(葛根) 秋から冬にかけて肥大した貯蔵根を掘り取り、水洗し、コルク皮を剥いで縦割り、またはサイコロ状に切ってから陽乾する。
【成分】イソフラボン誘導体:daidzein,daidzin,puerarin,genistein,formononetin,kakkonein,puerarol、サポニン:soyasapogenol A,B,C,D,E,F、芳香族配糖体:pueroside A,B 等。
【効能】発汗、解熱、鎮痙作用があり、主に葛根湯などの漢方処方に配合される。民間では風邪に葛粉をお湯で溶いて用いる。また葛花を二日酔いに用いる。 -
ホオズキ
【生薬】サンショウ(酸奬) 夏の開花中に全草を収穫し、水洗後陽乾する。
【成分】苦味成分:physalinA,B,C、フラボノイド:luteolin、根にはtigloyloxytropane 等。
【効能】鎮咳、解熱、利尿薬として民間で発熱、黄疸、水腫に用いる。根を同様に用いるが、過去には堕胎薬として用いたことがあり、妊婦には用いてはならない。 -
ヘンルーダ
【生薬】ヘンルーダ 夏の開花時期に地上部を刈り取り、陽乾する。
【成分】精油:methylnonylketone,methylheptylketone,pinene,cineole、アルカロイド:arborinine,fagarine,kokusaginine、フラボノイド:rutin、フロクマリン類:bergapten,chalepensin 等。
【効能】駆風、通経、消炎、利尿、解毒作用などがあり、ヨーロッパではリウマチ、腹痛、呼吸困難、肋膜炎、関 節痛、月経不順、ヒステリー症に用いる。湿疹、打ち身、捻挫、腰痛に外用する。 -
カノコソウ
【生薬】キッソウコン(吉草根) 秋、地上部が黄変する頃掘り取る。土を落としながら株分けし、大株を水洗後、むしろ上にひろげて陽乾する。
【成分】モノテルペノイド:cineol,camphene,α - β -pinene, limonene,p-cymene,borneol,bornyl acetate bornyl isovalerate、セスキテルペノイド:kessanol,kessylglycol, kessylglycol diacetate,valeranone,fauronyl acetate,knokonyl acetate,cryptofauronol、アルカロイド:chatinine,valerianine、イリドイド配糖体:kanokoside A,B,C,D,patrinoside,valerosidate 等。
【効能】鎮痛・鎮痙作用がありヒステリー、ノイローゼ、神経哀弱、神経過敏、精神不安、心臓神経症に用いる。また不眠症、偏頭痛、めまい、耳鳴り、心悸亢進、疝痛、てんかんにも効果がある。