薬草資料館
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アーモンド
【生薬】ハタンキョウ(巴旦杏) 秋、果実が成熟すると果肉が乾燥し裂けて核が離れる。核を割って仁を取り出し陽乾する。
【成分】amygdalin、emulsin、脂肪油、タンパク質など。
【効能】苦い味がするものを苦扁桃といい、水蒸気蒸留して得られた苦扁桃水を鎮咳薬として用いる。甘扁桃は滋養に食用とする。脂肪油はオイルマッサージに外用し、緩下薬としても内服する。 -
ダイズ
【生薬】コクダイズ(黒大豆) 秋、葉が枯れ落ち、莢を振ると中の種子が音を立てるようになった時茎ごと引き抜き吊るして乾燥する。よく乾かし、たたいて豆を出し、再び乾燥する。
【成分】イソフラボン:daidzin,daidzein,glycitin,glycitein,genisth,genistein、サポニン:soyasaponin Ⅰ ,Ⅱ, Ⅲ、脂肪酸:palmitic acid,linoleic acid,stearic acid,linolenic
acid,oleic acid、タンパク質:glycinin, β -conglycinin、色素:anthocyan など。
【効能】活血、利水、祛風、解毒薬として浮腫、脚気、筋肉のひきつり、化膿などに用いる。民間薬として風邪や咳に煎じて服用、また利尿、解毒に炒った豆に熱湯を注ぎ服用する。 -
アカマツ
【生薬】ロジン 松脂を蒸留した残りの不揮発性成分。工業的には松材のクラフトパルプの製造時にでるトール油を蒸留した時の残渣である。
【成分】樹脂酸:abietic acid, neoabietic acid, palustric acid, pimaric acid, isopimaric acid, dehydroabietic acidなど。
【効能】絆創膏の粘着付与剤。紙のにじみ止め、粘接着剤、印刷インク、合成ゴム、塗料、ロジンバックなどに用いられる。 -
ユチャ
【生薬】チャシシン(茶子心) 秋に収穫した果実を10 日ほど日干しすると殻がはじけ、種子を取り出し、再び陽乾する。油を取るには、種子を粉状に挽いて蒸した後圧搾する。
【成分】脂肪油:oleic acid,palmitic acid,stearic acid,linoleic acid,linolenic acid、camellin I, Ⅱ、sasanquasaponin等。
【効能】腹痛、皮膚掻痒、やけどに用いる。チャユ(茶油)製造原料。油は食用または皮膚保護剤として日焼け炎症の防止、やけど、かぶれに用いる。 -
オリーブ
【生薬】オリーブ油 少し色づいた実をよく洗って粉砕し、遠心分離機で液体と固体に分け、液部を静置し油分と水分に分ける。沈殿物と水分を除きフィルターで濾過して不純物を除く。
【成分】脂肪酸類:oleic acid,palmitic acid,stearic acid,linoleic acid,linolenic acid、フェノール類:hydroxytyrosol,oleocanthal 等。
【効能】皮膚保護剤として日焼け炎症の防止、やけど、かぶれに用いる。軟膏剤、硬膏剤、リニメント剤の基剤に用いる。 -
アケビ
【生薬】モクツウ(木通) 花のある時期に太い茎を採取し、輪切りにして陽乾する。
【成分】トリテルペノイドサポニン:akeboside Stb-f、Sth、Stj、Stk、ステロール類:stigmasterol、β-sitosterol、betulin 等。
【効能】利尿、排膿、通経、消炎の作用があり利尿、関節リュウマチ、神経痛、月経不順に用いる。竜胆瀉肝湯などの漢方処方に配合される。 -
アイ
【生薬】セイタイ(青黛) 夏から秋に茎葉を刈り取り、2-3昼夜水に浸し、葉が枝から落ちる頃枝を引き上げ、石灰を加え、撹拌し、深紫色になったとき、液面に浮いた藍色の泡末をすくい取り乾燥する。
【成分】葉にはindican、tryptanthrin、caffeic acid、gallicacid、kaempferol、quercetin などを含有する。
【効能】青黛 解熱、消炎、止血、解毒薬として小児の驚癇(ひきつけ)疳熱、出血、腫-癰(はれもの)などに応用する。まち口舌瘡、扁桃腺炎、咽頭炎、悪瘡、蛇虫咬傷などに外用する。 -
キンミズヒキ
【生薬】リュウガソウ(竜牙草) 夏、開花前に地上部を刈り取り陽乾する。
【成分】フェノール:agrimonol、イソクマリン:agrimonolide、フラボノイド配糖体:cynaroside, apigetrin、タンニン:agrimoniin、カテキン:pilosanol A,B,C など。
【効能】止血、止瀉、消炎、強壮薬として下痢、吐血、鼻血、血便、血尿、性器出血、下痢に赤白の膿血が混じる症状などに応用する。口内炎歯茎の腫れ、咽喉炎に煎じた汁でうがいをする。 -
ノウゼンカズラ
【生薬】リョウショウカ(凌霄花) 夏、開花したものを採取し陽乾する。
【成分】イリドイド配糖体:campenoside, 5-hydroxycampenoside, cachineside I, tecomoside、フェノール誘導体:acetoside, campneoside Ⅰ , II、アルカロイド:boschniakine など。
【効能】利尿、通経薬として月経不順、産後の出血、打撲症に用いる。凌霄花散などの処方に配合される。 -
ノイバラ
【生薬】エイジツ(営実) 秋、果実が紅熟する手前で収穫し、陽乾する。
【成分】フラボノイド: quercetin-glucorhamnoside, kaempferolglucorhamnoside, multinoside A,B multiflorin A,B, quercitrin, afzelin, methyl gallate、カロチノイド: lycopin、トリテルペノイド: tormentic acid、脂肪酸など。
【効能】利尿、瀉下剤として腎炎、浮腫、尿不利、脚気、リウマチ、便秘に煎じて服用する。その他おでき、にきび、腫物に患部を煎液で洗う。 -
ヒルガオ
【生薬】センカ(旋花) 夏から秋に根ごと掘り取り陽乾する。
【成分】フラボノイド:kaempferol-3-rhamnoglucose、saponinなど。
【効能】民間薬として利尿、疲労回復、強壮強精に煎じて服用する。虫刺され、切り傷に生の絞り汁を塗布する。 -
アンズ
【生薬】キョウニン(杏仁) 夏、果実が熟した時にもぎ取り、核を取り出し、風通しのよい所で陰干しする。よく乾いたところで種子を取り出し、更に日干しする。
【成分】青酸配糖体:amygdalin、酵素:emulsin、有機酸:oleic acid, linoleic acid, palmitic acid、triglyceride、glycolipid、phospholipid 等。
【効能】喘息や咳に服用されるほか、鎮咳去痰薬とみなされる茯苓杏仁甘草湯や麻杏甘石湯などの漢方処方に配合される。杏仁油や杏仁水の製造原料。