薬草資料館
-
サフラン
【生薬】サフラン 11月頃から開花が始まるので、咲き始めの花から花柱を摘み取る。細かい目皿のような物の上に広げ、30-35℃のオーブンに入れ、約10時間ほどで乾燥させる。赤色で香りの強いものが良品。
【成分】黄色カロチノイド配糖体:crocin、苦味配糖体:picrocrocinとその加水分解物safranal等。
【効能】鎮静、鎮痙、婦人用薬として冷え性、血色不良に用いる。料理に着香料として、染料として、また花の観賞用に幅広く用いられている。 -
オクトリカブト
【生薬】ブシ(附子) 秋に掘り起こし、母根から子根をはずし、水洗しそのまま乾燥したものを日本では川烏頭と言い、減毒処理としてニガリと食塩の溶液に浸した後乾燥したものを塩附子、外皮を剥ぎ縦割りしてニガリ水に漬け、煮沸後乾燥したものを炮附子、塩水に浸した後石灰をまぶして乾燥したものを白河附子と言う。現在製剤用として高圧蒸気処理後乾燥する加工附子も用いられている。
【成分】アコニチン系アルカロイド:aconitine, hypaconitine,mesaconitine, jasaconitine, neopelline、アチシン系アルカロイド:atisine, kobusine, pseudokobusine,telatisine, hypognavine, ignavine、強心成分:hygenamine, coryneine 等
【効能】強心、利尿、鎮痛薬として、代謝機能失調、身体四肢関節の麻痺・疼痛、虚弱体質者の腹痛、下痢、失精など内臓諸器官の弛緩などの症状を目的に温脾湯、桂皮加附子湯、牛車腎気湯、芍薬甘草附子湯、真武湯、八味地黄丸、附子湯などの漢方処方に配合される。 -
ヒガンバナ
【生薬】セキサン(石蒜) 葉が枯れた晩春から初夏にかけて鱗茎を掘り取り、ひげ根を除去し、水洗して外皮を剥ぎ、陽乾する。生で使う場合は随時掘り取り、すりおろして患部に貼る。
【成分】アルカロイド:lycorine, lycorenine, lycoramine, galantamine, tazettine、デンプン、多糖類:glucomannan, glucofructan。
【効能】去痰、解毒、催吐剤として用いられたことがあるが、毒性が強いため外用のみで使う。肩こり、浮腫に鱗茎をすりおろし、両足の土踏まずに貼る。同じくすりおろしたものを乳腺炎、腫れ物、いんきん、たむしなどの患部に貼る。 -
キキョウ
【生薬】キキョウ(桔梗根) 秋から翌春の萌芽前に根を掘り取り、水洗、細根を取り除き、陽乾する。乾燥しにくいので外皮を剥いでから乾燥するのもよい。太く、堅く、味が苦く、まっ白の物が良品。
【成分】サポニン:platycodinA,C,D,D2 ,polygalacinD,D2、ステロール類:α-spinasterol,stigmasterol、inulinなど。
【効能】鎮咳去痰薬として粉末を服用する。主に漢方処方用薬で消炎排膿、鎮咳去痰薬とみなされる桔梗湯、排膿散などに配合される。 -
トウキ
【生薬】トウキ(当帰) 晩秋、雪が降りだす前に掘上げ、葉を束ねて雨のかからない、風通しの良い所に吊るして約1-2ヶ月乾燥した後、葉を切り落とし、水洗後湯通しする。根を揉んで土などを落とし、風通しの良い所に並べ再び乾燥する。
【成分】精油:ligustilide,butylidene phthalide,butylphthalide,sedaonnic acid lactone,safrole,isosafrole,bergaptene,p-cymene 等。ポリアセチル化合物:falcarinol,falcarindiol,falcarinolone、クマリン類:scopoletin,umbelliferone など。
【効能】主として漢方処方用薬として婦人薬、冷え性、保健強壮、精神神経用薬、尿路疾患などとみなされる処方に配合される。葉を浴湯料に。 -
ドクダミ
【生薬】ジュウヤク(十薬) 6月頃の開花期に地上部を刈取り、水洗する。水切りも兼ねて少し陽乾した後、束ねて風通しのよい軒下など日陰に吊るして乾燥する。
【成分】精油:nonylketone,capric aldehyde,ketodecanal,methyllauryl sulfide,myrcene,臭気成分(decanoyl acetaldehyde,lauric aldehyde) 等、フラボノイド:quercitrin, isoquercitrin 等。
【効能】主に民間薬。利尿、便通、高血圧予防に煎じて服用する。解毒、胚の排膿薬として化膿症、湿疹、蓄膿症、中耳炎などに煎服する。生の葉は抗菌作用、解毒作用が強いため、腫れ物や蓄膿症、湿疹、水虫、かぶれに外用する。痔や脱肛も同様に用います。あせもやかゆみに浴湯料として使う。 -
トクサ
【生薬】トクサ(木賊) 4月頃か8~10月に地上部を刈取り、陽乾する。
【成分】SiO2、palustrine、dimethyl sulfone、thymine、ferulic acid 等。
【効能】漢方では眼科の治療薬として、結膜炎、角膜混濁、流涙症に応用する。民間では収斂止血薬として痔出血、腸出血、月経過多、下痢に服用する。また、利尿剤としても用いる。 -
ハシリドコロ
【生薬】ロート根 茎葉が枯死する初夏に堀上げ、ひげ根を除いて水洗し、陽乾する。十分に乾燥するまで2ヶ月を要する。
【成分】トロパンアルカロイド:hyoscyamine,atropine,scopolamin、オキシクマリン化合物 :scopoletin とその配糖体scopolin、ステロイド配糖体:scopolosid Ⅰ ,Ⅱ等。
【効能】ロートエキス製造原料。ロートエキスは鎮痛、鎮痙薬として製剤に配合される。毒性が強いので一般には使用しない。 -
イチハツ
【生薬】エンビコン(鳶尾根) 秋に葉が黄変する頃掘り上げ、根を除き、水洗後陽乾する。
【成分】イソフラボノイド配糖体:tectoridin, iristectorinA・B, tectoruside 等。
【効能】下剤、催吐剤。解毒、活血、利水薬として消化不良、水腫、打ち身に用いる。 -
トコン
【生薬】トコン(吐根)3年生以上の株の根を掘り取り、陽乾する。
【成分】アルカロイド:emetine,cephaeline,psychotrine,O-methylpsychotrine,ipecamine,
hydroipecamine, emetamine,protoemetine 等。
【効能】emetine 製造原料。催吐剤。アメーバ赤痢の治療薬。鎮咳・去痰薬に配合される。劇薬なので一般では使用しない。 -
カラスビシャク
【生薬】ハンゲ(半夏)7~9月、まだ花茎が残っている時期に塊茎を掘り取り砂と水を入れた容器中で撹拌し、ひげ根と外皮を取り除き、水洗後陽乾する。
【成分】えぐ味成分:homogentisic acid,3,4-dihydroxy-benzaldehyde、アルカロイド:ephedrine、アミノ酸、多糖類、ステロール類、シュウ酸カルシウム等。
【効能】よく湿を燥し、痰を化し、胃を和し、逆を降ろし、脾胃の水湿を除く去痰、鎮吐薬として小半夏湯、半夏瀉心湯、二陳湯、半夏厚朴湯,小柴胡湯などの漢方処方に配合される。 -
シナマオウ
【生薬】マオウ(麻黄) 秋に地上部を刈り取り、陽乾する。
【成分】アルカロイド:ephedrine,pseudoephedrine,ephedroxane,norephedrine、methylephedrine 等、タンニン、フラボノイド等。
【効能】主に漢方処方用薬。鎮咳去痰、気管支拡張、鼻炎、解熱鎮痛消炎薬とみなされる葛根湯、小青竜湯、防風通聖散、麻黄湯、麻杏甘湯などに配合される。