環境微生物検査

クリプトスポリジウム等対策指針について

「水道におけるクリプトスポリジウム等対策指針」が厚生労働省より通知され、平成20年度から、クリプトスポリジウムとジアルジア及びその指標菌について、水質検査計画に組み込むことが定められています。
水質検査計画案のご提案や検査頻度についてお気軽にご相談ください。

クリプトスポリジウム
クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)は、人や哺乳動物の小腸に寄生する、大きさは4~6μm(1μmは1mmの千分の1)程度の大きさの原虫です。感染した人や動物の糞便といっしょにオーシストと呼ばれる形で体の外へ排出され、感染源となります。排出量は、1日当たり、人では約10億個、ウシでは約100億個といわれています。湿った環境の中では、クリプトスポリジウムは2~6ヶ月間、感染力をもっています。
クリプトスポリジウムに感染すると、2日~5日後に、下痢、腹痛、吐き気や嘔吐、軽い発熱などの症状が始まります。下痢はさらさらの泥水の様で、血液が混じることはありません。感染しても症状が出ない人もいます。

ジアルジア
ジアルジア(Giardia)は人や哺乳動物の小腸に寄生する、大きさは長径8~12μm、短径5~8μm(1μmは1mmの千分の1)程度の大きさの原虫です。感染した人や動物の糞便と一緒にシストと呼ばれる形で体の外へ排出され、感染源となります。ジアルジアのシストは下痢の治まった後の有形便の中に多量に排出されます。排出されるシストの量は変動するようで、多い人では、1日当たり、10億個以上となりますが、感染しても検出限界以下のごくわずかのシストしか排出しない人も多くみられます。湿った環境の中では、ジアルジアは少なくとも2ヶ月間、感染力をもっています。 ジアルジアに感染してから下痢、腹痛などの症状が出るまでの期間は一定しませんが、一般的には6~15日後とされています。下痢は水溶性の激しいものから泥状便まで様々ですが、血液が混じることはありません。感染しても症状が出ない人もいます。

クリプトスポリジウム指標菌(大腸菌・嫌気性芽胞菌)
大腸菌(E.coli)及び嫌気性芽胞菌は水道原水の糞便による汚染の指標として有効です。また、その感染経路から、糞便により汚染された水源の水にはクリプトスポリジウム等が混入するおそれがあります。このため、原水にいずれかの指標菌が検出された場合には、原水に耐塩素性病原生物である、クリプトスポリジウム及びジアルジアが混入したおそれが高いと判断されます。

水道原水の検査頻度は、リスクレベルに応じて設定されています
クリプトスポリジウム汚染のおそれ

レベル4(クリプトスポリジウム等による汚染のおそれが高い)

地表水を水道の原水としており、当該原水から指標菌が検出されたことがある施設。

水質検査計画等に基づき、適切な頻度で原水のクリプトスポリジウム等及び指標菌の検査を実施すること。
ただし、クリプトスポリジウム等の除去又は不活化のために必要な施設を整備中の期間においては、原水のクリプトスポリジウム等を3ヶ月に1回以上、指標菌を月1回以上検査すること。

レベル3(クリプトスポリジウム等による汚染のおそれがある)

地表水以外の水を水道の原水としており、当該原水から指標菌が検出されたことがある施設。

水質検査計画等に基づき、適切な頻度で原水のクリプトスポリジウム等及び指標菌の検査を実施すること。
ただし、クリプトスポリジウム等の除去又は不活化のために必要な施設を整備中の期間においては、原水のクリプトスポリジウム等を3ヶ月に1回以上、指標菌を月1回以上検査すること。
 
レベル2(当面、クリプトスポリジウム等による汚染の可能性が低い)

地表水等が混入していない被圧地下水以外の水を原水としており、当該原水から指標菌が検出されたことがない施設。

3ヶ月に1 回以上、原水の指標菌の検査を実施すること。

レベル1(クリプトスポリジウム等による汚染の可能性が低い)

地表水等が混入していない被圧地下水のみを原水としており、当該原水から指標菌が検出されたことがない施設。

  • 1年に1 回、原水の水質検査を行い、大腸菌、トリクロロエチレン等の地表からの汚染の可能性を示す項目の検査結果から被圧地下水以外の水の混入の有無を確認すること。

  • 3年に1 回、井戸内部の撮影等により、ケーシング及びストレーナーの状況、 堆積物の状況等の点検を行うこと。

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